哲学者にクリエイター、なぜクリエイティブな人は裸足なのか?

少し斜め上なタイトルと言いますか「本当かそれ!?」と言いたくなる釣りタイトルで筆者として非常に恐縮ですが、実際に裸足で生活していたクリエイティブな人、突出した成果を上げている人々は少なくないです。彼らが意図してそれをやっていたかどうかは不明ですが、今回はそんな”はだしで生きるすごい人々”を取り上げつつ、裸足の効果について話をしていきたいと思います。

 

はだしで生活する偉人たち

ソクラテス、「哲学者といえば?」という質問をすると、きっと3人目あたりには必ず出てくるであろう人と言えるのではないでしょうか?アリストテレスやプラトンといった稀代の哲学者が出てくるきっかけとなった人であり、「自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い。」などの名言を数多く残した、紀元前400年頃を生きた哲学者です。

 

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「紀元前って、そんな頃誰も靴を履いてなかったんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に歴史上最古の靴は紀元前3500年前と言われており、ヨーロッパのアルメリア共和国から紀元前3500年前の革の紐靴が出土されています。またエジプトのピラミッドからは、紀元前2500年頃のサンダルのようなものが出土されており、ツタンカーメンの墓からは黄金のサンダルも出てきたと言います。日本でも弥生時代には農作業用に田下駄という履物を履いていたとされています。

そんな昔から当たり前のように履かれていた靴ですが、ソクラテスは毎日空を見上げながら裸足で歩き回っていたと言います。

 

 

スティーブ・ジョブズも裸足だった

最近まで日本でも映画が放映されていましたが、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブスもまた裸足の偉人です。スティーブ・ジョブズと言えば、現代ではクリエイティブな人の象徴と言っても過言ではないくらい熱狂的な支持者がいる近代の偉人と言えるのではないでしょうか。最近小学生向けの偉人の伝記シリーズにスティーブ・ジョブスの伝記が並んでいるのを知り、こうやって新しい時代ができていくのだと感銘を受けたものです。

そのスティーブ・ジョブズは、裸足でいることを一つのポリシーとしていたようです。靴を履くのを嫌い、Apple社の躍進に手腕を発揮したマイク・マークラは入社する際の条件として、スティーブ・ジョブズに靴を履くことを要求し入社します。それでも社内を裸足で歩き回っていたスティーブ・ジョブズですが、AppleがWCCF(ウェストコースト・コンピューターフェア)にて初めてコンピューターを発表する際に初めて人前で靴を履いたという逸話があるくらい裸足で日常を過ごしていました。

 

 

トップアスリートたちのはだし事情

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スポーツノンフィクションライターの吉井妙子氏の著書「天才は親が作る」でインタビューしていたトップアスリートたちの共通点の一つとして、10歳になるまで足の裏に刺激を与える習慣を行っていたというものがあります。実際に実名で出てきたトップアスリートの裸足の逸話を紹介します。

 

1、松坂大輔選手(野球)

小さい頃の松坂大輔選手は毎日近くの公園で、裸足で走り回っていた。
5才からは剣道を習っていたため、やはり週3日は裸足だった。

 

2、イチロー選手(野球)

小学校4年から中学校1年まで、お父さんが毎日1時間、イチロー選手の足の裏をもんでいた。

 

3、杉山愛選手(ゴルフ)

5才まで、自然に恵まれたところに住んでいたため、砂浜を裸足で歩くなどしていた。

運動能力は10才までにどのような動きをしたかで、その良し悪しが決まるとされていますが、浜松大学健康プロデユース学部、田中誠一教授によると、運動能力をつかさどる神経を、足の裏を刺激することによって発達させることが出来る、ということも言われています。

ちなみに世界的なスポーツメーカーと言えば、Nikeが1社上げられるかと思いますが、昔NikeのWEBサイトにこんな言葉が上がっていました。

 

“Nikeの最も革新的かつクリエイティブな3人の従業員は、スタンフォード大学の選手たちが大学のゴルフコースにおいて裸足でトレーニングをしていることを知り、裸足のように自然で軽やかな履き心地を備えたシューズの開発に取りかかりました。2002年、彼らは圧力を測定できるインソールを男女のグループの足に貼り付け、高速カメラを使用して足の動きを撮影。チームは8年をかけて、裸足で走った時の生体力学について研究を進め、 足の自然な着地角度、圧力、つま先の位置について徹底的に究明。これにより、Nikeのデザイナーは、今までにない柔軟性を備えたランニングシューズの開発に成功しました。Nike Freeの発売以来、数百万人ものランナーがこのシューズでトレーニングを行ってきました。その中には、ケニア出身の世界的ランナーたちも含まれています。”

 

Nikeにも裸足で仕事をしている人々がいるという話もありましたが、Nikeの靴は”いかに裸足に近づけるか”そんな考えが根底にありシューズ開発の研究をしているようです。トップアスリートの裸足の習慣と、トップスポーツメーカーのシューズ作りの考えを鑑みると、いかにスポーツと裸足は密接な関係があるかというのがわかりますが、なぜスポーツに裸足が大切なのでしょうか?

 

 

足の裏に多くあるメカノレセプター

 

メカノレセプターとは「感覚受容器」のことで、足の裏(踵、足の指の付け根、足の親指)に多く存在しています。 これはセンサーのような機能で、立っている時に、体重がどこにかかっているかを検知し、脳に知らせるなどの役割を担っています。子供や高齢者が転びやすいのは単に筋力の問題ではなく、このメカノレセプターの能力が大きな原因の一つと言われています。

 

そしてメカノレセプターには「使用されなければ機能低下を起こす」という特徴があり、骨折して長い間足ギプスを巻いた経験がある方は分かるかもしれませんが、ギプスが外れてすぐの頃は歩くときにバランスを崩しやすいことがよくあります。これは、ギプスで足が固定されているためメカノレセプターが使われず、センサー機能が低下してしまったためと考えられます。

 

メカノレセプター

 

裸足で過ごすということは、感覚受容器であるこのメカノレセプターを刺激することになり、足の筋肉が発達するだけでなく足の裏の感覚が研ぎ澄まされ、足の指や体の重心をうまく使えるようになり、スポーツで最も大切なボディバランスなどを体得できるというわけです。

 

 

足の刺激は脳へ行きわたる

 

散歩は海馬を刺激すると言われていますが、これも足の裏にある感覚受容器のメカノレセプターが強く関係しています。少し前にヨガインストラクターの川又さんのインタビューの時にも「足のツボを刺激することによる効果」について話がありましたが、ツボ治療のように身体の状態を良くするだけではなく、足の裏を刺激すると脳に信号がいくため、その刺激で脳が活性化すると言われています。

 

考え事をする際に歩き回る人が稀にいますが、自然とそういった行動に出てしまうのも人間としては当たり前の行動で、メカノレセプターを刺激することで脳にも刺激がいき、ドーパミンなどが生成されるとも言います。ちなみに足からの信号により大脳前頭葉と脳の後ろ半分が刺激されると言われており、記憶力、発想力、想像力など足の裏に刺激を与えることで実に脳の23%の能力が発揮されるそうです。

 

哲学者や稀代のクリエイターが裸足で生活していたのは、それを知っていた訳ではないでしょうが、こういった裸足の脳への寄与を考えると、もしかしたら裸足で生活していたからこそ発想力や創造性が培われて、偉大な人生を歩むことになったのかもしれません。